アユ少なめの友釣り解禁

アユ解禁日の安曇川

「朽木漁協によると、今年は琵琶湖でのアユの不漁で放流量が減った上、川の水量も少ないため昨年よりも数は少なめだが、体長は16〜18センチと大ぶりな魚が釣れているという」

太公望お待ちかね、アユ友釣り解禁 滋賀・高島の安曇川
(京都新聞電子版 17/06/17)http://kyoto-np.co.jp/top/article/20170617000103

滋賀県内の安曇川中流と野洲川でアユの友釣りが解禁になりました。野洲川はアユの生育が遅れ気味だったため昨年より1週間遅れの解禁です。湖産アユの不漁で放流量が減り、数は少なめですが解禁日にしては型のよいアユが釣れてるとのこと。ここしばらく照り込みが続いて、いいアカが付いてよく育って追い気満々だったんでしょうね。この先は雨不足による減水が心配です。アユもバスも梅雨の雨が気になることにかわりはありませんが、川の増減水や日射しによるアカの育ちに大きく左右される友釣りの方が影響は鮮明です。

岩波新書「アユの話」と中公新書「川と湖の魚たち」

アユの生態や琵琶湖産のコアユが全国の川に放流されてることを興味深く読ませてくれた本に岩波新書の「アユの話(宮地伝三郎著/1960年初版)」があります。高校の図書館で見付けて借りて読んで、自分でも買って何回も読み返しました。同じ頃にもう1冊繰り返し読んだのが中公新書の「川と湖の魚たち(川那部浩哉著/1969年初版)」で、こちらにもアユについてとても面白い話が載ってました。。

縄張りを守りながら川底の石に付いた水アカを食うアユは、数が少ないと侵入者を追い払う頻度が減るからよく育つけど、ある閾値を超えて数が増えると縄張りを守るどころではなくなって、もっとひどくなると縄張りを放棄してしまいます。そうなると逆に多くのアユが水アカを食えるようになって、縄張りが維持されてたときよりも平均の大きさが増大する結果になります。そんな面白い研究成果を高校生レベルでもなんとか面白く読めるように、優しくていねいに解説した名著です。今でもこの2冊は手元にあります。

「川と湖の魚たち」はアユのほかにもいろんな淡水魚の生態研究を紹介してるんですが、そのなかに琵琶湖のゲンゴロウブナ、ハス、ホンモロコ、セタシジミの興味深い話が出てきます。資源量の増減の研究や琵琶湖総合開発の影響を調査したりなんかしてるんですけど、中に2カ所、琵琶湖の現状に結び付く重要な記述があるので、ちょっと長くなりますが引用します。

中公新書「川と湖の魚たち」左から1969年初版、1977年第10版、1993年第16版(いずれもB.B.C.文庫所蔵)

第2章 アユー社会構造と生産 から

「漁業などの場合には、現状の評価がすでにむずかしい。内水面とくに河川の漁業においては組合員といっても専業の人は少なく、機関を通じて売り買いすることが比較的少ないし、また鑑札を買ってとっていく釣り人たちが多いために、漁業統計がまず整備されていない。改めて調査をしようとなると、これまたなかなかむずかしい上に、漁獲量は年々いちじるしく変化するから、数年の調査では平均的なことはわからない。さらに漁業については、経済的な投下をやれば今後どの程度生産性があがるかといった問題は、まず考えられたためしがない。

 そこでダム建設側と漁業組合との交渉は、たいてい『経済的』に話がついて低い補償金で泣き寝入りというのが以前の状態であった。十年あまり前からやっと科学的な方法が若干とり入れられはじめた。私どもの出したアユの生産能力の算定基準がそれである」

第5章 ゲンゴロウブナー個体と集団の摂取速度 から

「琵琶湖にすむ生物の種類は多い。手元にあるリストで数えても、植物プランクトン七三種、水草七六種、動物プランクトン一六五種、水生昆虫三九種、貝二二種、魚四六種となり、付着性の小動物やバクテリアを加えると、ゆうに五百種を越すことになる。

 この中には、過去に何回かあった氷河期に北からやってきて、その後他の水域では気候の温暖化とともに絶滅したのに、琵琶湖の深い部分だけでひっそりと生きのびている遺存種もいる。先祖が中国大陸から渡ってきて、一時は西日本に広く分布していたのが、広く深く、環境が複雑で、しかもいろんな餌が豊富なこの湖だけで生きのこり独自の発展をした連中もある。広く深い水域に適応して、琵琶湖のなかで分化し、少しずつ日本中に拡がっていったり、あるいはこれから拡がっていこうとしている種もある。このように琵琶湖は、あたかも生物進化の展示会のような水域なのである。

ところがこうした生物にとって、たいへんな問題があらわれた。大阪地方の工業用水の不足を見越して、琵琶湖をもっと水そのものとして使いたいという計画である。湖は堅田と守山の間でくびれていて、その幅は一・五キロメートルほどしかない。そこにダムを作って湖を二つに分割し、北側の大きいほうの部分の水位を三・五メートル変動させてその水をポンプで南へ移し、淀川の流水量を一定限度以上にいつも保とうというのが、その最初の企てであった。

 こうした計画が実行されると、琵琶湖とその周辺にはいろいろの影響があらわれる。地下水位が下がって、飲料や灌漑に使っていた井戸などが枯れる、港には船がつけられなくなる、といったものもその一つである。そのなかで、水産業に対してはどんなかたちの影響があるのか。被害はどの程度であって、それはなんらかの対策によって軽減できるものかどうか。もしこの計画を進めて、それが完成してしまったときには、その後どんな水産業の振興対策を立てればよいか。こういった点についての生物学的な資料が欲しいと、建設省が宮地伝三郎さんに調査を依頼してきたのである。

 琵琶湖の面積は、中海水系全部をあわせたそれの、さらに三倍近くもある。そこで今度は近畿地方の生態学者を中心に、六〇人あまりの人々に相談を持ちかけた。今度の場合は委託者が工事を計画する側なので、いろいろの議論が出た。しかし結局、『補償額の算定はしない』「自由・公開・民主の三原則を堅持する』といったことを建設省に認めさせた上で、一九六一年十月から五年間近く、各方面からの調査がはじめられたのである」


アユの調査が1950年代、二ゴロブナは60年代です。どちらもダム建設や琵琶湖総合開発と深い関わりのある研究ですが、研究を発注する側との関係が、微妙に距離を取りつつも変遷していってるのがよくわかります。もっとはっきり言ったら、「自由・公開・民主」とか言いながら、琵琶湖総合開発そのものの評価からは逃げてます。高校のときにこの部分を読んで、どういうことか具体的にはよくわからないけど、「はぁっ!? どういうこと・・・」と思ったのをよく覚えてます。

そして著者が琵琶湖博物館の初代館長に就任したのが96年。烏丸半島環境破壊造成地にそびえ立つ、琵琶湖総合開発から現在に至る環境破壊に関する展示がまったくない、反省のかけらもない恥知らずな博物館の誕生です。琵琶湖博物館館長といったら、まぁ琵琶湖の、特に生物系の研究者としては出世頭です。琵琶湖の研究者の現在の立ち位置がいかに形成されたかがよくわかる話ですよね!!


ニュースのこっち側 批判的な研究者でいることのリスクとは・・・!?(17/06/17)http://bassingkawaraban.blog.fc2.com/blog-entry-2487.html

アユ友釣り10日から 滋賀県内15漁協、昨季より遅れも(京都新聞電子版 17/05/31)http://www.kyoto-np.co.jp/sightseeing/article/20170531000030

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