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移入種のヤマトゴイと在来種のマゴイって何が違うねん!?

淡水大魚釣り コイの解説

「実は国内で飼育されているコイの多くがユーラシア大陸由来の『導入型』と呼ばれる外来種だ。日本古来の在来型は限られた場所にしか生息しておらず、生態も謎だ。滋賀県の琵琶湖は希少な在来ゴイの生息場所として知られ、地元の漁業者らは実態調査や保護活動を続けている」

在来ゴイよ琵琶湖に戻ってこい 漁業者ら調査や保護活動
(日本経済新聞ネット版 17/12/26)https://www.nikkei.com/article/DGXMZO2496114022122017000000/

古い釣りの本にもコイには2種類あるということが書かれてましたが、その2種類とは体の細長い天然種と太くて体高の高い養殖種の違いで、放流が盛んになるにつれて養殖種が主流になりつつあるという話でした。参考に、1968年発行の「淡水大魚釣り」(小西茂木著/東京書店刊)の記述をちょっと長くなりますが引用しておきます。

淡水大魚釣り 表紙

「コイはもともと中央アジアの原産です。

 古い時代に各地に移植され、今はアジアのほか、ヨーロッパにも分布しています。学術的には一種ですが、古くから多くの変種が作られています。

 天然ゴイに対して、養殖ゴイがあり、養殖ゴイの中にマゴイ、色ゴイ、移入品種のドイツゴイがあります。色ゴイはニシキゴイ、またはヒゴイともよばれ、ドイツゴイは別名をカガミゴイとよび、その変種にカワ(皮)ゴイがあります。

 養殖ゴイは食用と、観賞用のために作り出されたもので、マゴイとドイツゴイは食用、色ゴイはいうまでもなく観賞用です。色ゴイの原産地は新潟県古志郡地方で、百八十年ほど昔の、寛政時代から養殖されていたそうですから、古い歴史があるわけです。

 天然ゴイといえば、人工を加えない品種のことです。体は比較的ひらたく、背部は暗黒食、腹部は淡黄色です、生息する場所によって、いくらか体高が違い、暗いはい色に金色をまじえたもの、緑かっ色に近いもの、腹部から背にかけていぶし銀のように白いのもあります。

 養殖種の中にも、天然種と同じ体色のものがあり、これと天然種の二つは、一口にマゴイとよばれていますが、養殖種のほうが、天然種よりも体高(せびれを除いた寸法)が高くなっています。体高を一とすれば、養殖種の体長(吻端から脊椎骨の末端までの長さ)は二・八から三・〇倍、天然種は三・六から四・〇倍です。同じ体長でも養殖種のマゴイは、太く短く、天然種のマゴイは細く長く見えます。

 釣りの対象になるのは、野ゴイです。天然に生息するコイ、または自然に近い環境にいるコイです。野ゴイにも天然性、養殖性のマゴイがいます。ただし、天然種のものは少なく、ハリにかかる大部分は養殖種です。

 養殖種のマゴイは川や、湖沼で天然繁殖するほかに、人工栽培によって作られた稚魚が、毎年大量に放流されています。その多くの稚魚が野ゴイとなって成長し、産卵し、養殖種のものがいよいよふえて。太くて短いコイがたびたびハリにかかるようになったのです」


ものすごく読みやすくて、わかりやすい文章ですね。著者の小西茂木は和歌山県紀ノ川支流の在所の出身で、コイやレンギョ、ソウギョなど淡水の大物釣りを自ら確立した人物であり、淡水大魚研究会の会長にしてメインの職業は童話作家。つまりプロの文筆家で一流の釣り師だけあって、魚のことをよく研究してるし、それを正確に文章化する技術もあるし、さらに魚に対する深い愛情を感じさせる文章になっています。今読み返しても面白い本ですが、中学時代に買ってからすでに50年近くたち、製本が傷んで、上の引用文を入力するために開くだけでも、ミシミシ、バリバリと音がして、バラバラになってしまわないかと心配なぐらいです(笑)

淡水大魚釣り P38-39

当然、書かれてることも今から約50年前の知見であり、当時はコイには天然と養殖と中間種があるけど、種としてはすべて同じとされていました。ちょっと前の図鑑類でも、コイは一種しか出てません。琵琶湖のリリース禁止やら外来生物法で外来種論争が盛んになったときに、コイも外来種やないかぁ〜!! と言われてたのは、つまり日本のコイは大陸から持ち込まれた種が人の手を加えられつつ拡がったという前提に基づくもので、当時はそれが目新しい知識だったわけです。

 コイヘルペスが日本中に蔓延して、琵琶湖でもコイがバタバタ死んで、岸から離れた所にいても湖上から流れてくる風が死臭をはらむ異常事態になったのは2004年のことです。そのときに回収された多くの死体をDNA鑑定した結果、天然種と養殖種の違いだけでは説明し切れない種レベルに相当するほど遺伝子が異なる2種があることが2006年に報告されました。それ以前から認知されていたのがヤマトゴイ、新しく見付かったのがマゴイです。

ヤマトゴイは大陸からの移入種。マゴイはヤマトゴイが移入される以前から日本にいた在来種でとされています。移入種にヤマトなんとかという名前が付いてるから、ややこしくて間違えやすいんですが、元々ヤマトゴイと言ってたんやからしゃあないやん!! というわけで、日本にいるコイの種が確定するプロセスをよく反映してるとも理解できます。

今後、外来種の話でコイを引き合いに出すときは、以前の論争のときとは定説がかわってるから、昔の話を真に受けて話をすると恥ずかしいことになる恐れがあります。その点、気を付けた方がいいでしょうね。突っ込む人も、時制を考えないで、現在の知見を昔の話に被せて批判するのは、外来種を日本中にバラ撒くのが正義とされていた昔の行為を今の常識で非難するのと同じで、お花畑の妄想を語ってる人とレベルはかわりません。反省は必要だけど、非難するのはお門違いということですね。

今上天皇が皇太子時代にアメリカからブルーギルをお持ち帰りになられた行為は、反省はするけど非難されるものではありません。その反省も、天皇個人が反省するのではなく、そういう時代であったことを社会全体が反省すべき性質のものです。それに対して、研究機関や水試などがブルーギルを全国にバラ撒いた行為は、公的に反省することなく、むしろなかったことにしてメディアとグルになって拡散の責任をバスアングラーと釣り業者に押し付けようとしてる点において非難されるべきです。

ヤマトゴイとマゴイの分類は、研究が深まるにつれてまだまだ揺れ動く可能性があります。琵琶湖のマゴイが稀少な地域個体群で絶滅の恐れがあるとかいう話になったら、お花畑な人達がヤマトゴイは即刻駆除せよなんてことを言い出すかもしれません。それを利権にしようとする人達も現れるかもしれません。外来種についてはそんなアホなことがマジ起こりかねない国ですからね。コイがかわいそうなことになりませんように・・・!!


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