琵琶湖なう バッグリミットとキーパーサイズの意義
1991年に初めてアメリカのバストーナメント取材に行ったときに、レイ・スコットと少しだけ話をする機会がありました。彼は当時、会社としてのB.A.S.S.を売却して社長職を退き、会長か何かのポジションでメジャーなトーナメントだけB.A.S.S.の名物司会者としてが姿を見せる半引退とも言うべき身分でした。
そのときの取材は、テネシー州レイク・チカマウガで開催されたメガバックストーナメントに初参戦した下野正希プロに同行して、いきなり初入賞という、僕のキャリア上もエポックメイキングな仕事になったわけですが、ほかにも後の仕事の糧になる貴重な経験の連続でした。バストーナメントをうまくやっていくためには選手の意見によく耳を傾けるべきだと言い切ったB.A.S.S.社長ヘレン・サビアーのインタビュー、レンジャー社の巨大で先進的なバスボート工場の取材、当時はすでに同社の会長になっていたフォーレスト・ウッドの話を聞けたことなどなど、どれも忘れ難く今でも記憶に残っています。
中でも特に印象深かったのがレイ・スコットの話で、アメリカでバストーナメントが成功した大きな要因の一つは、バッグリミットとキーパーサイズを組み合わせたトーナメントのフォーマットを確立したことだと言ってました。昔はいろんなルールで競っていたバストーナメントを現在のような洗練された形に作り上げて、広く普及させる中心的な活動をしたのが、ほかでもないレイ・スコット率いるB.A.S.S.だったんですね。
釣り大会にはいろんな競技形態があります。まず、そこのところを整理しておきましょう。
1尾長寸または複数の合計長寸
1尾または複数の合計重量総重量
尾数(多くは最小寸規定を伴う)
ほかにもいろいろありますが、基本的にはこの分類でいいかと思います。このうち1尾または数尾の長寸または重量で競う大会は、数を少なくすればするほど運に左右される度合いが強くなります。遊びの釣り大会でこの形態が多いのは、その方が誰でも上位に食い込める楽しみがあるからですね。まぁたいていは、そんなに甘くはありませんが・・・(笑)
競技色が強いほど尾数または総重量で競うことが強くなり、キス、ハゼ、アユ、ニジマス、ハエ、タナゴなどは数釣り大会が盛んです。競技として面白ければ、それでいいわけで、資源保護とかはまた別の話です。全日本キスは1尾長寸だ、宇治川のハエ釣り大会も数尾の長寸だ、タナゴ釣りには掌賞があるぞとか、そういう枝葉末節的な突っ込みも入れないでくださいね。わかった上で、あくまでトーナメントに話を絞って書いてるんですから!!
磯のグレと管理池のヘラブナはだいたい総重量ですね。グレは木っ端釣りに走らないように最小サイズ規定があるのが普通です。ヘラは管理池だったら放流サイスはコントロールされてるし、釣りまくっても魚が涸れる心配はあまりないから、たくさん釣ったもん勝ち。それでも競技としてのバランスが崩れないのは、数釣る中にいかに大きいのを混ぜるかという戦略の両立が欠かせないからです。
もっと複雑なのはビルフィッシュトーナメント。カジキのトローリング大会です。ラインクラスでハンディキャップが設けられていて、ファーストフィッシュボーナスなんかもあるから、ポイントを引き離されていてもライトラインのハンディキャップを活かして一発逆転が狙えますが、ルールがとても複雑だから、釣ってる本人が今何ポイントなんやぁ〜!? みたいなことになりがちです。って言うか、僕はいつもそうなってます(泣)
その上さらにややこしくしてるのが、タグ&リリースを競技に取り込もうとしてることです。ラインハンディキャップは釣ったカジキの重量に対して係数が設けられてるわけですが、リリースしたカジキの重さはわからないから、スコアは一律何kg×係数になります。現在はリリース奨励で、この一律のスコアが重めに設定されてるから、そうなると小さなカジキを手早く釣って数稼いたチームが得することになります。これは本来ビッグゲームの競技大会であるべきビルフィッシュトーナメントとしては大きな矛盾です。
極端な戦略として、優秀なスタッフを大勢揃えたチームがボートの機動力を活かしてアスターンでガンガン巻いて、掛かったカジキを短時間で寄せ、素早くタグを打って長いリーダーを残したままカットしてリリースすれば、ファイト時間は大幅に短縮できます。カジキのストライクは数10分から1時間ぐらい続いて止まり、また続いて止まり、それが1日に数回あるのが普通です。もしストライクから10分前後でタグ&リリースできたら、カジキが間違いなくいる場所ですぐさま釣り再開して、1回のチャンスの間に次のカジキをストライクさせることが可能になります。
このようにいろんな競技形態がある中で、バストーナメントだけは例外的に数尾の合計重量で競うと同時に最小サイズ規定をを設けることで、競技性を実にうまくコントロールすることに成功してるわけです。と言うか、この方式でバス釣り大会の競技性をコントロールできることに気付いてトーナメントに取り入れたこと自体が偉大な発明と言っていいんじゃないかと思います。それがすべてのトーナメントに浸透していった結果、スポーツとしてのバストーナメントが高く評価され成功することになったわけですから!!
バストーナメントの競技形態はほかにもいろいろ試行錯誤されてます。例えば最初に書いたメガバックストーナメントでは、最終ラウンドは10選手に絞って、レイクのごく一部の限られたエリアを10区画に分けて一定時間ごとに移動しながら釣っていってました。これはファンが岸から観戦できると同時に、すべての選手を見ることができるようにするための工夫です。
後のトーナメントでは最終ラウンドに残った全選手にビデオカメラを同乗させて録画したり、今ではライブ中継までするようになってますが、結局のところプロスポーツとしてのバストーナメントの最大のネックは、選手が競技してるところを見られないことなんですね。その点を解消するために、いろんなことをやってきた結果、同乗カメラでライブ中継するまでになったわけですが、そうなると新しい大きな問題が浮上しました...
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